物事は、突然に襲う。
いいことなのか・・・悪いことなのか判らずに襲う・・・。
ただ、乗り越えようとする力があればいい。
これは、そんなお話。
+++Endress Sorrow+++
Act.3:突然。
「夜明けの海って、きれいですね。」 細流が急につぶやいた
。彼女はコーヒーの入ったカップを両手で抱え、フーフーと息を吹きかけ冷ましながら飲んでいる。
「それにしても、しげるの淹れたコーヒーって絶品だよな・・・これをはじめて飲んだ時の衝撃はすごかったよ。」
ささらもコーヒーを飲んでいる。
「家にサイフォン置いてきたからなあ・・・あの味は出せない。勘弁してくれ・・・。」 しげるが面目なさそうに言った。
「まぁ、こんな旅もあっていいんじゃない?」 「そうですよ、つい最近までは・・・私だってコーヒーすら飲めなかったのですからね♪」
「そこ・・・死にたくなかったら手をあげてもらおう・・・。」
「!?」 しげるの背中には、銃が突きつけられていた。
「あんたの目的はなんだ・・・?」
しげるは、小さな声で銃を突きつけている男に問いかけた。
「あぁ・・・問答無用でこの町に入ってきたからさ・・・。通行するには、許可書が必要ってことを知らないのか?」 男は答える。
「でもさ・・・僕だけじゃないんだよ・・・。ここにいるのはね」
しげるがつぶやいた瞬間、男は倒れていた・・・倒れた体からは血が流れていた・・・。
「まったく・・・急所は外したからよかったけどさ・・・。」
ささらが刀を鞘に押さえつつ、またコーヒーを飲んでいた。
「アンタの居合いは僕でもまねできないよ・・・。刀を抜いた瞬間・・・10分の5秒の速度で斬ってるからね。」
しげるは、安堵の表情を浮かべた。
「あのー・・・俺の頼みを聞いてくれないか?」 一人の軍服の青年が、しげるたちに近寄り問いかけた。
「ん?場合によっては聞くぞ。」 しげるが言った、ささらも頷いた。
「あの・・・俺たちの作戦に協力してほしいんだ。」 軍服男はコーヒーを飲みながら話を切り出した。
「作戦って?」 その他三人が問いかける。 「ええ、俺の町を救いたいのです。」
「町って・・・そこにある万華鏡社の工業団地か?」 ささらがコーヒーを飲み干して言った。
「ええ、自由統治政治のせいで、町の機能は全部のっとられました。」 男は話を続ける。
「だから、俺たちはレジスタンスを結成したのです。 昔の日本みたいに、皆が戦争を拒み安心して暮らせる世界を・・・。」男は話を終えた。
「あぁ・・・戦いのない世界なんて奇麗事だ。」 しげるが口をはさむ。
「だけどな・・・ファシズム(帝国主義)な連中は嫌いだ。協力してやるよ。」
「ありがとうございます!」
男はうれしそうな表情で感謝した。そして一言 「この作戦が終わったら、またコーヒー飲ませてくださいね。」
ここにひとつ、しげるのコーヒーに魅了された男がいた。
「で、自己紹介が遅れました・・・僕は終虎っていいます。」
軍服の少年、終虎は自分を軽く自己紹介した。
親が万華鏡社に強制労働させられて死んだこと、妹が居たこと。とかを・・・。
「んーと、俺はささら・・・そっちのタバコ吹かしてるのはしげる、隣の少女は細流って言いますよ」 ささらが答える。
「ま、よろしく」
「よろしくね、終虎さん。」
残りの二人も軽く紹介をした。
「それにしても・・・こんなオンボロ車でここまで旅をしてきたのですか?」 終虎が不思議そうにささらの愛車を見つめていた。
「あぁ・・・でもエンジンが限界いってるんだよなぁ・・・。」 ささらがちょっと困った表情を見せた。
「なら・・・そこの車庫にあるライトバン、もっていっていいですよ♪」 終虎は快くささらにライトバンの鍵を渡す。
「え!いいのか・・・。ありがとう、恩に切るよ」 ささらはうれしそうにライトバンに乗り込むと、エンジンをかけて遊んでいた。
「まるで、おもちゃを与えられたガキだな・・・。」
しげるは、一人呆れていた。
「とりあえず、作戦は明日の夜です・・・今日はゆっくりと休んでください。」 終虎が、毛布を持ってきてくれた。
「ありがとう。」 三人は、毛布を受け取り・・・ライトバンの中に入った。
その夜 「眠れないのか?」 しげるが、隣で座ってた細流に声をかける。
「ええ・・・ちょっと・・・いやな事を思い出して・・・最近、寝てないのです。」 細流は・・・すこし悲しげな表情を見せる。
「何か・・・話をしようか・・・。」
しげるが自分のかぶってた毛布を、細流にもかぶせる。
「あっ・・・」
細流がちょっと顔を赤らめた。
「あ・・・ごめん。けど、昔は妹によくしてあげてたよ・・・。」
その後・・・いろいろな話をした 子供の時の話、兄弟の話、友達の話・・・。
「でも・・・さびしい・・・しげるさんやささらさんは信用ができるのに・・・一緒にいるとさびしくないのに。
けど・・・さびしい・・・なぜ?」 細流は、少し泣きながらつぶやいた・・・。
すると・・・しげるはそっと・・・細流の肩を抱き寄せた。
「こうしたら・・・さびしくない。」
しげるは、ちょっと恥ずかしながらもつぶやいた。
「しげるさん、このまま・・・寝ていいですか?」
「いいよ・・・。」
しげるが、肩をぐっと寄せた・・・。
そして・・・二人は深い眠りに落ちた。
次の日、早起きなささらはほかの二人が肩を寄せ合って寝てる光景を目にしたとき・・・
「あいつ、細流と出会って・・・昔の傷を癒そうとでもしてるのかな・・・。」 と小さくつぶやいた・・・
END。
+あとがき+
あー!!!!申し訳ありません ハリセンなんて食らいたくありませんありません・・・。 であ