さぁ、自分たちを探す旅に出よう。

 

++Endress sorrow++

 

act.2「旅立ち」

 

「貴様ら、この町で物騒なものを振り回すとは・・・いい度胸だな」

しげるは言うと・・・迷彩服の連中の一人を目にも留まらぬ速度で切り裂いた。

「おまえら!一時退散だ!」 迷彩服の一人が叫ぶと、連中は脱兎のごとく去った・・・。

「まったく・・・こんなクレイジーな連中がいるからこの町は・・・」 しげるはつぶやくと、ポケットの中からタバコを取り出し、自分の家に向かった。

 

「満月丸の刀のさびだったか・・・臆病な連中だな」 ささらがつぶやくと、彼はお茶を飲みだした。

「そういえば、彼女のこと、聞いてないよ」 しげるがとっさに言う。

すると、彼女はしげるたちに向かってまじめな顔で話し始めた。

「私は細流(せせらぎ)って言います・・・私は万華鏡社の実験体でした。 でも、実験体は全部明るい空を見ることができませんでした。

だから、私はここを脱出したかった。」 彼女はそういうと、急に泣き出した。

「私は、私を知りたい。そしてもっと広い世界を見たい!!!! たとえ、どんな人に邪魔されても!!!!」 泣きながら言う彼女に対し、ささらがつぶやいた。

 

「しげる、ここを出ないか?そして、広い世界を見ないか?」

しげるは・・・頷いた。 「あぁ、面白そうだな。僕だって、広い世界を見たい。そして、こうやって旅をして自分を高めたい。」

「賛成だな」 「早速、準備をしましょう。」

 

二時間後・・・。

 

「なぁ・・・これってありか?」

しげるが後ろでふてくされて荷台でタバコを吸っていた。

「だって、女性は助手席優先でしょ。」 ささらが返す。

「まぁ・・・いいか。」 灰をコーラの缶に落とすと、しげるは荷台にあぐらをかいていた。

さて・・・ここで休憩するか・・・。 三人は海辺のバイパスにあるコンビニに到着した。

辺りはもう暗くなっていて・・・。 「タバコ切らした、買ってくる。」

しげるは愛煙しているマールボロ・メンソールのソフトパックをつぶすとゴミ袋に放り投げた。

そして車から出てコンビニに出かけた。

 

「しげるさんって、いつもああなんですか?」 細流はささらに問いかけた。

「うーん・・・そうでもないけど、やっぱり初対面の人間にはちょっと不器用な話し方するな。

人の数倍落ち込みやすいし、弱く見えるけど。自分を持っていてやさしい奴だから安心しなさい」

ささらは笑いながら細流に答える。

「ただいま」

しげるは帰ってくる、そして大きな荷物を持っていた。 「オゴリだ、飯でも食わないか?」 しげるは皆に問いかけた。

「あ!このにおいはオデンですね!」 細流は目を輝かせていった。

「よくわかるな・・・好きか?」

「はい!」

「腹減ってたの・・・よく気づいたな。」

三人は口をそろえていた、仲のよい友達のごとく・・・。

「だって・・・これだけ走ったんだ・・・。腹の虫が鳴りそうになるなんてお見通しだ。」

しげるはそう言いつつ、袋からオデンを出してたまごに辛子をつけてかぶりつく。

 

「まぁ、ゴチになります♪」

ささらはこんにゃくを恐ろしい勢いで食べだす。

「大根、好きなんですよー♪」

細流は大根を取ると、うれしそうな顔でちまちまと食べていた。

 

その夜。 細流は助手席で寝ていた。・・・ しげるとささらは、堤防に腰掛けて話をしていた。

「なぁ・・・これからどうなるんだ?」 しげるは急につぶやいた。

「さぁ・・・これからも何も、今から始まったんだ。何が不安なんだ?」

ささらが答える。

「あの娘。いきなりやってきてさ・・・。これからさ・・・何かおこるかわからないのに。 僕たちは旅をしようって言うの?」

「いいのよ・・・それで。何かが見つかれば、何かが見つかればそれでいい」

二人は、夜風に当たってお互いの意見を述べ合ってた。

「寝るか。」

ささらがつぶやいた。

しげるが頷くと、二人は車に乗り眠りについた・・・。

これから、何がおこるのかわかない・・・ けど、希望はある・・・。

 

END

 

あとがき。

2話ですね。 意外と後半が難産でした。 執筆中にKOTOKOを聞くといい感じになります。(ぇ むしろマンセーってねw

 

←1話を読み返す  戻る  先に進む→